【業界別】「ここ、チョロっと直して!」が通用する境界線。ITとレガシー業界の“見えない労働”の適正価格

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■ 今北産業|忙しい人のための「3行要約」

  • 「チョロっと直して」という無料サービスの正体は、発注者のワガママだけではなく、硬直化した予算や多重下請けといった各業界が抱える 構造的なバグ を末端の現場に尻拭いさせるための免罪符である。
  • 行政の予算の壁、ゼネコンの減額相殺、ITの工数水増し、伝統的インフラのコンプラ逃れなど、厳格なルールが生み出した歪みが 見えない労働 として非公式な業務へ変換され押し付け合われている。
  • どんなに立派なSaaSやDXツールを導入しても、組織のしわ寄せを現場の優しさや思いやりで吸収させる 商慣習 が残る限り、日本企業からタダ働きやサービス残業が消滅することは決してない。

1.議題:ITの「ちょっとした修正」は、本当に無料の「サービス」なのか?

ITシステムやWEBサイトの納品後、発注者からベンダーへ気軽にお願いされるこんな言葉。

「ちょっとここのボタンの色、変えておいてもらえますか?いまの契約額のなかで対応お願いします!」

「この機能もチョロっと追加できませんか?『なるはや』で!」

IT業界では日常茶飯事ともいえるこの「無料のチョロっと修正(サービス要求)」

しかし、これを物理的なモノを扱うレガシー業界の現場でやると、どうなるのでしょうか?

今回は、「コードの1行」と「コンクリートの1立米」の質量は同じなのか?という問いについて、各業界の最前線にいる5人が「見えない労働の適正価格」について語り合います。

2.各業界のリアル:「チョロっとサービスして」と言われたらどうなる?

osaka551 │行政

/ 行政10年以上経験


行政は発注側なので、「チョロっとお願いします」を言う側。本当に良くない。

周りを見てると悪気なく言ってる人もいれば、前担当者の尻ぬぐい(仕様を詰めるのが甘かったり)で申し訳ないと思いながらお願いしてる人もいる。

ただ、公務員は基本的に利益の話に疎い人が多いから、そのへんのデリカシーが欠けてる担当をよく見るね。酷いと納品後に「イメージと違う」ってブチ切れて全部やり直させてるところも見た。

まぁそれは滅多にない事例だけど、そもそも「チョロッと修正」をお願いすることになってしまう根本の原因は行政の予算支出の融通の利かなさにあるように思う。

行政は前年度に1円単位まで予算の使い道を決めてるから、追加仕様が出てきたときに「変更契約」で新たに補正予算を組んで、議会承認を通して…というのが異常にハードルが高い。そして時間がかかりすぎる。

だから、良くないけど現場の職員がダメ元で言ってしまいがち。

システム系はどっちが悪いとも言えない場合も少なくないから、納品後に修正箇所が出てくることを見越して、行政側はしっかり仕様書に初期導入後の修正対応期間を含んだ予算を確保するべき。

ohagi │ゼネコン

/ スーパーゼネコンの中間管理職


うちの会社だと、発注者から「チョロっとやっておいて」と言われた場合は現場所長の判断に委ねられるかな。

所長と発注者の関係が良好だと、タダは無理だけど減額変更と相殺して手出しがほぼない〜少額になるよう対応をすることもある。

ドライな関係だと、しっかり請求する。

簡単に変更を言われるけど、小さな変更に紐づくものが多くて各所仕様確認、納まり検討、手配替え等やることがめちゃくちゃあるから個人的には追加費用請求はやって当然だと思う。

今後も付き合いがある発注者なら貸しをつくることを考える人もいると思うけど、最近は補助金絡みで入札になることが多いから、貸しが無駄になることも考えると都度しっかり交渉した方がいいと思うわ。

nekonisi │IT

/ クラウドエンジニア


イメージ通り、IT業界はその辺の線引きはめちゃくちゃ曖昧。

お客(買い手)からはゴリ押しで、「バグだ!」って脅してくるパターン。

逆に明らかなバグなのに「仕様です!」ってやり合うパターンがある。

売り手側は売り手側で、工数を2倍3倍、ひどい時だと10倍くらいに盛って出しているので、「まぁ呑んでやるか」って感じで呑んじゃう場合が多いと思う。

買い手側は買い手側で、「ゴリ押しでサービスさせよう」って魂胆で「営業を通さずに直接エンジニアに」とか「SES契約」って感じで取り込んで無茶させるパターンもある。

多分、IT業界がブラック業界って呼ばれる所以がそこにあると思う。

何が言いたいかって言うと、こういう中抜き構造がある限り日本のITは遅れ続けるから、ITコンサルや営業みたいな職業が無くなるように、ITエンジニア側はコミュニケーションから逃げずに説明できるようになるべきだし、逆に非エンジニア(のITに関わる人)は、もうちょい勉強した方がいい。

gu│メディア

/ 業界紙記者


メディアはIT業界とは違って、人件費を固定費として見ているように感じる。

つまり、制作物に対してどれだけの工数(要員✕期間)がかかっているかをいちいち計算していないことが多い。

資金的、労力的制限よりも時間的制約(締切)の方が意識されやすい。

締切の範囲内ではコンテンツを改善するための努力は惜しむべきではない。品質への妥協は締切によってのみ許されると、他の媒体も思ってんじゃないかな。

一記者としての負担感はどうかと言うと、全体に影響しない一部修整は数秒で終わる。全体構成を変える必要がある場合でも、他業界ほどは苦労しないんじゃないかなと思ってる。

HagePo │伝統的組織

/ 全国規模の超巨大インフラ勤務


これなw ウチだと、客がやってくんねん 営利企業面だけじゃないから

地域社会に貢献もあるから

客から携帯アプリの設定してあげたり、

お客さんのメール打ってあげたり、

お客さんの電気 携帯 年金 通販とかのどうしたらいいの?がお客さんからくる

もともとうちの会社だと社会福祉を盛り込んでるから若干仕事やでチョロっと無料ってww

社員も思ってるもん「ウチってほんまに営利企業なんか?」って

基本ウチは仕事も含めて優しさ 思いやり 心遣いをチョロっと求められる企業やで

0円スマイルやwww

3.日本を代表する伝統的組織のHagePoに追加質問してみた

HagePo │伝統的組織

/ 全国規模の超巨大インフラ勤務


Q.チョロっとやっといてと言われたらどう思う?実際にやれる?

A.誰に何を言われるかによる

ほぼヤレるね 職責関連と権限系以外はやれる

全てにマニュアルがあるから正解がある

企画系でも採点されて返されるから結局出来るは出来る

どう思うかは結構その人の立ち位置とその人との関係値による

もしくは環境要件による 今じゃないし俺じゃないとか


Q.どういう理由で「チョロっとやっといて」が発生する?

A.基本トップダウンだね 上からの指示を現場に落とす時に使うのが基本

本社 支社 管理者 現場

ここの現場に落とす時にやっといてが使われる

理由としてはこの4者に使って良い言葉遣いの規制がある

過度な目標指導が現場の実情から大きく乖離した過去を鑑みてこの規制が生まれた

その結果階層ごとで話し合いをする風潮になっている

その中で目標いわゆる企業としての最低必要利益から逆算した数字
目標も伝えづらくなってる

んで現場の人間だけで決めたコトなら会社は関係ないみたいな考えと必要数字、販売個数、販売額とかの熱量をふんわりした形で現場に広めるときにチョロっとが使われる

現場の人間にふんわりした方向性を伝えて欲しいみたいな ねっちょり熱いチョロっとが管理者からやっといてって今は言われてる

これに関しては管理者には同情するね
管理者階層ではバチバチに数字の話と詰めが、行われているのを知っているからね

そして今は指導ではなく寄り添う指導をするのが仕事だがそんなもん出来ない管理者が多いから世間とか実情の波に合わせられない人も多いから何とも言えん 人による

現場同士のチョロっとはその人の立ち位置と関係値による

基本現場は権限と経験の差のみで同じスペックを有しているのが基本なんだけど

手続きから逃げるためのチョロっとが現場であるwww

ほんまクソ

そしていつまでも出来ないwww

心折れてる子もいるし何とも色々よww

4.【議事録】結論:「チョロっと」の正体は、組織のバグのしわ寄せである

「コードの1行」と「コンクリートの1立米」に質量の差があるわけではない。

にもかかわらず、あらゆる現場で「チョロっとやっといて」という見えない労働の押し付け合いが横行している。

今回の5人の証言から見えてきたのは、「チョロっと」という言葉が、単なる発注者のワガママではなく、それぞれの業界が抱える「構造的なバグ」を現場に尻拭いさせるためのマジックワードとして機能しているという現実だ。

  • 行政では、「硬直化した予算と議会承認の壁」を回避するために。
  • ゼネコンでは、「減額変更との相殺や人間関係の貸し借り」という現場の政治を回すために。
  • IT業界では、「最初から工数を何倍にも盛る多重下請け構造」の帳尻を合わせるために。
  • 伝統的組織では、「コンプラ規制によって直接言えなくなったノルマ」や「煩雑な社内手続き」から逃れるために。
  • そしてメディアでは、「人件費=固定費」という前提のもと、「締切」だけが絶対という独自の時間軸がある。

本来、システム化やDX、あるいは厳格な契約管理というのは、こうした曖昧な業務を可視化し、適正な対価を支払うために存在するはず。

しかし実際は、予算制度やコンプライアンスといったルールが厳しくなればなるほど、そのしわ寄せは「ねっちょり熱いチョロっと」という名の非公式な業務に変換され、末端の現場へと流れ込んでいく。

どんなに立派なタスク管理ツールやSaaSを導入したところで、組織のバグを「現場の優しさ」や「0円スマイル」で吸収させる商慣習が続く限り、この国から「見えない労働」が消えることはないようです。

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